CSD

猫の人格

いつもと違う道を通って帰ると、ある家の門の中にお行儀良く足をそろえてじっと正面を向く猫がいた。行儀良くたたずむ姿がどこか(よく安っぽいカレンダーとかで見かける)写真のようで足を止めたら、猫の頭上でチカチカと照明が点滅しだした。出入りする者を歓迎するために照らすにしては煩く、寧ろまるで警報機みたいに光り続ける。猫はその奇妙な照明にも言葉どおりまったく動じず、ただじっと正面にいる私を見つめる。怯えたような臆病な目。まるで子供の頃の私みたいだ、なんて思ってみたものの、ばかばかしくなって笑ってその場をあとにした。(そんな子供だったような気もするし全くお転婆な子供だった気もする。記憶が曖昧なのかもしれないし多面性があるのが人間だとも思う。)